2020年5月7日、ゴールデンウィークも終わり、季節の変化以上に世の中の変化を肌で感じています。
これまでパネテリエはどんな時間にもお客様がいらっしゃったら、たくさんの商品でお迎えしたいと、必要以上のパンやお菓子を揃える事もございました。しかしながら、お客様の中にはその商品を全部お買い上げくださる方も多く、その後のお客様には何も無い状態でお詫びをする事もございました。
コロナ禍と云われる昨今では、テイクアウトのプラスチック容器がゴミ箱に溢れ、余剰に生産された食品が廃棄され、仕事を求める方が増えている一方で、空が澄み渡り、原油が余り、夜には街の明かりが消え、月を自宅の窓から眺める。人に会いたい気持ちが募る。もともと私たちの生活自体が自然にとって緊急事態なのではないかと五月晴れの朝焼けを眺めています。
用の美、身の丈、足るを知る、そんな生活に憧れる思いと、おもてなしの心や、より便利に、より快適にという相反した思いの中揺れてしまう自身を見つめ、豊かさとは何か、このパネテリエというお店のあるべき姿とは何なのか考えています。
パネテリエには現在約100名のファミーユと呼ばせていただいている顧客であり顧問ともいえる上得意様がいらっしゃいます。
その方々の多くは夏も冬もパネテリエの継続を願い、パネテリエの「今」を気にかけてくださりつつ、ご予約を入れてくださったり、空っぽの棚を前にも笑い飛ばしてくださったり、そんな家族のような方々です。
そんな皆様のおかげで元々パンが残るということはこれまでほとんど無く、たまに残るパンも自分たちや知人、近隣クラブ活動の子供達などに振舞ってはきたものの、日々変化するお天気や社会情勢に予測を的中させることは、賭博のようで私の性格には合わないものでございました。
また、予想外にたくさんのお客様に恵まれた時も、お料理にお時間をいただいてしまったり、商品が間に合ず、お見送りもできず、決して満足にお店を熟せていない場面が多々あり、その度にお店を閉めてしまいたくなるほど深い自責の念に駆られていました。
そうした思いを重ねてまいりましたが、今日の空を見て、今後の事も見据えた上で、パネテリエは予約制のお店に変化させる事にいたしました。
まだメニューも予約フォームなるものも、ご用意はできていませんが、順次ご案内させていただこうと思っています。お店もお客様も、「足るを知る」の考えで、より持続的に豊かな「食」の世界をお客様皆様と築いていければと考えています。
もともと予約をくださるお客様はこれまで通りですし、パンに囲まれて選ぶ楽しみを提供するタイミングもご用意しますので、大きな変化とはならないかもしれませんが、もう一歩先へ。必要なモノを必要とする方へ必要な数をお届けする事を大切に考えて運営を進めてまいりますので、今後ともどうぞ末長いおつきあいを宜しくお願い申し上げます。